トーク力を磨け?ばか言っちゃあいけねえ。人はトークで笑ってるんじゃない、人は人で笑うものである。
どういうことか?
ひっかかりニーチェというバラエティ番組。芸人の永野とウエストランド井口が「M1で優勝したかったら知名度を上げろ!」と叫んでいた。その時おれは思わずテレビの前で頭を床にガンガン叩き付けながら笑った。芸人なら「ネタを磨け」と言いそうなところ。芸人特有の逆張りなんだろう。
でもよく考えたらこれは深い話なのではないか?と思った。少し心当たりがある。
教室の真ん中でチャラチャラしたアッパー系な男女。天井が抜けるくらいバカ笑いしてる。そんなに面白いのか?おれは休み時間にオートで発動する脳内ノイズキャンセルを切ってみた。うむむむ。やっぱりぜんぜん面白くねえ……。きゅうりって栄養ないんだぜ?って言ってくるやつくらい面白くねえ。
ただ教室には愉快な笑い声が広がっている。俺はなぜ笑えないんだろう。
似たような話はいくらでもある。声優が好きな友人に絶対面白いから聴いてくれと言われた声優のラジオ。これが全然おもしろくなかった。アニメイベントの現場で何があったとか、海外旅行であったこととか。友人の彼が悪いんじゃない。かと言って俺が悪いんでもないだろう。
同じような経験をしてる人は多いだろう。
面白いとは一体なんだ?そう思っていた。っつーわけで、ウェブにある芸人のインタビューをいろいろと読んでみた。
確信した。人はネタで笑うのではない。人は人で笑うのだ。永野と井口が「M1で優勝したかったら知名度を上げろ!」といったのは間違いじゃない。
例えばM1で大会史上最高点で優勝したミルクボーイ。彼らはインタビューでいう。
「優勝のキッカケにもなったモナカというネタはM1前日のライブでは全くウケなかった。」
まじで?と思うのだが本人たちが言うから間違いない。
人はネタで笑うのならミルクボーイのモナカ。M1前日でスベるわけがない。
さらにもう1つ。お笑いコンビの千鳥。彼らのインタビューも面白かった。特になぜ東京で成功できたかのエピソードである。
大阪から上京し、東京を主戦場にすることにした二人。ところが劇場でネタをやっても全然ウケない日々だったという。こうなりゃテレビの仕事をたくさんやって食うしかない。そう腹を決めてからだった。マネージャーにテレビの仕事をたくさん取ってくるように言い、もちろん吉本興業ブーストもあってテレビ露出が増えた。
しばらく経って世間的に十分に千鳥という名前が広まった。久々に彼らはお笑いライブに出ることにする。すると結果は大ウケ。お客さんは手を叩いて笑っていたという。このインタビューで千鳥は最後に付けたした。
「俺らのネタは変わってない。あの時のウケなかったネタをそのままやっただけ」
もし人がネタで笑うなら、当時ウケなかった千鳥のネタはスベるはずである。ところが大ウケした。知名度である。永野は言った。「知名度を上げればM1優勝できる」と。逆張りなんかではなく、かなり本質を突いてたんじゃないか。
人はネタで笑うのではない。
人は人で笑うのである。